石油資源国ですが(2019/04/13)
目次
ベネズエラでは
現在のベネズエラについてはいろいろな報道があるようです。その主なものは国の経済がなかなか上手くいっていないのではないかというものです。時々テレビニュースで市民デモが行われたとの報道が出たりしていますが、日本からは遠く離れていることもあり、また直接的な繋がりが具体的に見当たらないので、日本では関心が薄くなっているのも止むを得ないかも知れません。
石油埋蔵量世界一
ベネズエラは2017年時点で世界第1位の3008億バーレルの埋蔵量を誇ります。比較的重質成分が多いと言われています。因みに第2位はサウジアラビア2664憶バーレル第3位はカナダの1697億バーレルとなっています。アメリカは第10位で365億バーレルとなっています。
埋蔵量は変わる
石油の埋蔵量は採掘技術の進歩やその時点の石油の価格などにより変わります。探査技術の向上により新たに石油含有層が発見される場合もありますし、採掘技術が進歩すれば今まで不可能と思われていた場所からの採掘も可能となります。また採掘した石油の価格が高くなれば採算性が良くなり企業化の可能性が出てきます。このような要因から石油の埋蔵量は変化します。
車の進歩も
石油の消費の先の大きな部分を占めるのは自動車です。最近では電気自動車も普及してきてはいますが、まだまだ主流はガソリン車やディーゼル車です。排気ガス規制など環境問題から電気自動車への期待は大きいですが、一方ではエンジン自体の燃料効率向上や排気ガス中の不純物除去技術の進展もあります。
シェールオイルとガス
近年アメリカやロシアなどで発見されたシェールオイルやシェールガスなどはその典型的な例となります。しかも埋蔵量が大きいので、一度生産開始となれば世界の石油の需給バランス影響するほどの量になります。国の経済や政治にまで影響を及ぼすことになります。サウジアラビアなどの湾岸諸国の生産国が生産調整を余儀なくされる事例も起こっているようです。
またシェールオイルに関連してシェールガスも大量に生産されるようになりました。シェールオイルの埋蔵量とこの数年の生産量などの推移を考慮すれば、現時点ではアメリカやロシアなどがサウジアラビヤやベネズエラを抜いて共にトップを占めることになっているのではないかと想像されます。日経新聞電子版(2019年4月13日付け)によれば、18年12月時点で米シェール主要7鉱区の生産量は日量803万バレルと米原油生産の7割に達しているとの報道があります。
下流の付加価値製品は
本題に戻りますが、ベネズエラは石油埋蔵量は最大ですがそれの自国での有効利用につてはどのような政策を取ろうとしていたのでしょうか。サウジアラビアやイランなどは自国の長期的な展望の中で豊富な石油で資金が豊かなうちに「石油の単なる輸出」からより付加価値の高い「石油化学製品などの誘導品」を自国で製造し販売する方向に動いているとの話を聞いたことがあります。
基礎化学品の可能性
ベネズエラ側から、基本的な化学製品であるアルカリ製品の工業化の可能性について調べて欲しい旨の要請がありました。
ベネズエラへ
大手のエンジニアリング会社の技術者と筆者とアメリカに飛び、ニューヨークでコーディネーターとして大手商社のNY駐在員の方、それに当方のNY駐在員などと落合いチームを組んでベネズエラの首都カラカスへ飛びました。ニューヨークからカラカスまでは5時間のフライトです。大手商社の方は英語はもちろんスペイン語も非常に堪能な方でしたので今回は大変楽でした。
カラカスは
カラカスはベネズエラの首都で人口500万人を超える大都市です。ベネズエラは正式にはベネズエラ・ボリバル共和国というのだそうですね。この国の通貨の単位もボリバールとなっています。カラカスは北側にあるカリブ海から山を一つ越えた盆地にあります。標高が1000m前後と高いので熱帯地域ですが年間平均気温は21.1℃と低くなっています。過ごし易かったです。
担当者との打ち合わせ
カラカスでは所管の役所で担当の方へプラントの概要や生産に必要な原料やユーティリティー、得られる製品などについて説明しました。先方の担当者からは工場予定地や周辺の状況など説明を受けました。
マラカイボは
マラカイボの市街は湖の東岸に位置して人口は390万人でカラカスに次いで第2位の街となっています。マラカイボ湖では石油の掘削が行われており原油の一部は大型タンカーで輸出されていました。また一部は周辺で精製されているとのことでした。発展している印象を受けました。
工場立地としては
工場に必要とする燃料の量と価格については問題ないことが判りました。エネルギー多消費型の工場にとっては有難いことです。何個所かそれらしき場所を見て回りましたが、石油生産が盛んに行われているマラカイボ湖内より河口にラファエル・ウルダネタ橋よりややカラカス寄りの外海に面した場所辺りが良さそうだとの印象でした。
ベネズエラの観光地
エンジェルフォール
ベネズエラでは観光地が幾つもあります。カラカスから少し離れますが「エンジェルフォール」が自然観光地としては一番ではないでしょうか。カラカスの南東方向にあるギアナ高地の中のカナイマ国立公園内に所在しています。
エンジェルフォールは落差が979mでこれは世界最大です。落下する水は落差が大きい為に地上に落下すル前に途中で分散して霧になってしまうので下には滝壺はないそうです。
アクセス
滝までのアクセスは小型機でカラカスからプエルトオルダス空港へ向かい、そこからセスナ機でカナイマ空港へ行きます。ここから川をボートで遡り更にトレッキングでやっと滝の下のキャンプ地まで行きます。ここで滝を見上げることになります。飛行機の便数やトレッキング時間などを考えると往復4~5日はかかりそうです。
カナイマ空港から遊覧飛行で滝を見てくる手もあります。時間の無い人にはこの方が便利かもしれません。
ロマイナ山
ロライマ山は標高2810mのテーブルマウンテン形状の山です。これもカナイマ国立公園内にあります。サバンナのなかで突然崖が1000m切り立った姿は遠くから見るとよく似ていることから陸に浮かぶ軍艦にも形容されているそうです。豊かな自然が残されています。
ボリバール広場
カラカス市内の観光スポットとしては幾つもありますが、まずは市内中心地にあるボリバール公園です。その名の通り公園の中心地にはシモン・ボリバールの銅像があります。ボリバールはベネズエラの建国に貢献した革命家です。
広場の周りには教会や昔の映画館、市庁舎やシモン・ボリバルの博物館があり、快適に過ごせるので散策するのに大変人気があります。またボリバール博物館や国会議事堂など一見の価値ありです。
自然豊かな国
ベネズエラは何といっても自然豊かな国です。前述の滝や台地とそれに川の流れなどがあります。自然愛好家には堪らない美しく人を惹きつけるものがあります。とても1日2日で見終えることは出来ないです。
印象は良かった
筆者が訪問した時は街の混乱もなくいい印象を持って帰りました。うす暗くなったマラカイボ湖に石油掘削櫓の灯りが続き湖面を照らしているのを車の車窓から見たのが今でも忘れられないです。
青二才だった筆者が申し上げるのは大変恐縮ですが、この国は大変な将来発展のポテンシャルを持った国だと思いました。これから大いに発展すること遥かに祈るばかりです。
まとめ
ベネズエラは大きな石油資源を持っています。現在は大部分が輸出されています。これを上手く使い付加価値の高い製品を作るようにすれば状況はさらに良くなるのではないかと思います。
魅力的な自然の風景は立派な観光資源で、世界中からより多くの人がこれを楽しみに訪れることになります。ぜひ頑張って頂きたいと思っています。
最後までご覧いただきまして有難うございます。