水と摩天楼の街、シカゴ(2020/01/06)
シカゴへ
東京からシカゴへはJAL,ANAを始め幾つかの航空会社が毎日直行便を就航させていてとても便利になりました。例えば昼前に出発すると翌朝8時前には到着します。飛行時間は約11時間50分程度です。成田と羽田から毎日飛んでいます。
オヘア国際空港
シカゴ市内にある国際空港ですが、7本の滑走路がある巨大空港となっています。利用客数、発着便数では全米屈指の空港で発着回数では2018年は世界一でした。とにかく世界的に多忙な空港です。
「ACI、September 2019」によれば、2018年の利用客数では、1位がアトランタ国際空港の107.3百万人、5位が東京羽田空港で86.9百万人、6位がシカゴオヘア国際空港で86.9百万人。
発着回数では、1位がシカゴで90.3万回、2位がアトランタで89.5万回、残念ながら東京羽田は20位以下のようです。
アメリカに来ていつも感じることは、この国の大都市の国際空港は規模が大きいということです。
シカゴ市は
シカゴ市はミシガン湖西南岸に発達した人口は現在約270万人で、周辺地域を含めたシカゴ都市圏の人口は970万人を超える大都会です。
大火と復興計画
1871年、シカゴ市は大火でその市街地のほとんどを焼失し街が廃墟となるほどの甚大な被害を受けました。その後の復旧には計画的な都市造りを進めて新都市計画時代の幕開けとなりました。これが美しい高層ビル街を造る発端となりました。
超高層ビル
周辺の産業などの発展とも相まってシカゴ市には高層ビルが立ち並び急速に発展していきました。1900年代初頭から1950年頃に掛けて南部から多くのアフリカ系アメリカ人が移住してきました。彼らと共にもたらされた南部の音楽文化がこの街に定着し独自の進化をすることとなりました。
産業構造の変化
1950年には市の人口は362万人を超えて最高を記録しました。ニューヨークに次いで全米第2位を維持してきました。都市圏の人口は増加を続けましたが1950年以降市域の人口は減少に転じました。
原因としては主として次の二つが挙げられると言われています。
(1)五大湖近辺の市街地の老朽化
(2)製造業の衰退
産業の重要拠点
シカゴ近郊では半導体、電子機器、輸送機械などの産業が発展してシカゴは現在でも商業、金融、物流などの分野で重要拠点となっています。
1990年には278万人まで減り、1980年代前半にはロスアンゼルスに抜かれて全米第3位の人口を有する都市となりました。近年再び人口は増加傾向にあるようです。
米国北西部工業地帯
ラストベルト( Rust Belt )
ラストベルトという表現が良く使われることがあります。ラストベルトとは米国の中西部地域と大西洋岸中部地域の一部に渡る、脱工業化が進んでいる地帯を表現する呼称です。ラスト(rust)とは「錆」という意味で、使われなくなった工場や機械、設備などを表現しています。
重化学工業や自動車産業が主力
具体的にはボストンとワシントンを結ぶ一帯の西からミシガン湖西側のウィスコンシン州東部までの地域を言い北は五大湖や、カナダのオンタリオ州の工業地帯から南はアパラチア山脈の炭田地帯までの広大な地域を言います。
例えばニューヨーク州ナイアガラ市はナイヤガラの滝の水力発電による安価で豊富な電力を基に化学、鉄鋼などの製造業が盛んとなりました。またデトロイトでは自動車産業が盛んになりました。
この領域には石炭、鉄鉱石、五大湖やこれと連絡する運河、鉄道などにより東海岸への輸送も便利でした。シカゴが中心的な役割を果たした都市の一つと言えると思います。
基幹産業の移転
1970年代、激しくなる国際競争への対応策として製造業者がこれらの地域からアメリカの他の地域やメキシコに工場を移転したためにかつて繁栄していた工業地帯の経済が悪化し工場閉鎖が起こり失業者が増加することとなりました。
基幹産業の主力が周辺地域や南部へ移動した後、この地域の製造業は労働集約型の生産工程から高付加価値製品の生産と先進的無人化生産方式に移行しています。
工場再生の試み
このような状況の中である企業から塩ビ関連の工場建設の可能性について話を聞きたいとの要請がありシカゴまで出かけました。工場立地については明確ではありませんでしたが、ラストベルトのどこかで工場再建の計画があったのかも知れません。本件はその後どうも実現はしなかったようです。
先端技術開発企業の活躍
近年にはこの地域にITやAIなどの先端技術開発を行う企業が集まり再び活況を取り戻しつつあるといわれています。例えばデトロイトにはAIを使った自動運転車の技術開発を行う世界的大企業の関連会社が立地して活躍しています。北西部工業地帯と南部工業地帯は機能的に自然と棲み分けが出来ていくのでしょうか。
南部工業地帯
南部工業地帯については、
- 「ジャズと観光の街、ニューオーリンズ」2019-12-18 ⇒ こちら
- 「魅力あふれる街、アトランタ」2019-12-01 ⇒ こちら
で記載しておりますのでご参照頂ければ有難いです。
シカゴの観光スポット
シカゴには多くの観光スポットがあります。ミシガン湖、シカゴ川、摩天楼、クラッシックやブルース、ジャズなどの音楽、映画、博物館、野球やアメリカンフットボールなどのスポーツなどと多方面に亘っています。
シカゴの建築物を巡るリバークルーズ
シカゴ川を行く75分間のクルーズで、摩天楼が川の両側に立ち並び世界有数の美しい景観を見ることが出来ます。、コースはシカゴ川の本流から北の支流イースト・バンク・クラブを通り、その後南のウィリス・タワー「旧シアーズ・タワー」を過ぎ、幾つかの建物を通り出発点に戻ります。
ジョン・ハンコック・センター、リグレー・ビルディングなど、40を超える著名な傑作建物を間近かに見ることができます。ガイドの説明からシカゴの建築史を知ることが出来ると思います。
多忙なショートステイの方にはお勧めのコースですね。チケットは以前に予約しておくとチケット窓口の列に並ばずにスムースに乗れます。
ミレニアムパーク
2005年の夏にオープンしたパークでシカゴのダウンタウンの中心部にあるランドルフ通りとモンロー通りの間にありシカゴ市民の憩いの場となっています。幾つかのアトラクションがあり人の顔や幾何学模様から水が流れ出るクラウンファウンテンがあります。
高さ15mの二つタワーが向き合ってLEDライトが埋め込まれていていろいろな模様を表示して面白いです。詳しくはシカゴ市のサイト「City of Chicago」をご覧ください。
「ザ・ビーン」のクラウドゲート
168枚のステンレス板を張り合わせた表面が鏡面のように研磨された豆状のオブジェ「ザ・ビーン」があります。見る角度によって高層ビル群から人の顔までいろいろなものを映し出し市民や観光客の憩いの場所として人気を集めています。シカゴのシンボルとなっています。
フィールド自然史博物館
フィールド自然史博物館はシカゴ市内のミュージアム・キャンパスと呼ばれる公園地区の一画に1921年に建造されています。この博物館は人類学、動物学、植物学、及び地質学の4つの主要部門から構成されています。
恐竜のコレクションは米国内で発掘されたものが多く数の多さには驚かされます。スーは1階の中央フロアに展示されている。世界最大規模の恐竜化石標本です。
そういえばアトランタのファーンバンク自然史博物館にも巨大なティラノサウルスの標本が展示されていましたですね。
6500万年前の化石で1990年にサウスダコタ州で発見されて発掘、2000年に組み立てが完了しました。長さ約12m、腰高約4mあり約90%以上が本物だと言われています。頭蓋骨はレプリカで本物は2階バルコニーに展示されています。200以上のパーツで構成されて大きさが1.5m、重量が約1tonあります。
シカゴ美術館
シカゴ美術館はダウンタウンにあり、ニューヨーク・メトロポリタン美術館、ボストン美術館と並んでアメリカ三大美術館の一つ。本館の建物は1893年に建造また2009年には新館が建設されました。収蔵品は、30万点以上で古代から現代に至る各地域、時代のものを含む。
欧州や米国などの西洋美術のみならずアジア、アフリカ、オセアニアなどの美術を広く収集している。年間150万人以上の来場者があり人気の観光スポットとなっています。1992年に完成した日本ギャラリーには膨大な収蔵作品が展示されています。
シカゴ・シアター
1921年完工したシカゴ劇場はダウンタウン中心部のステートストリート沿いにあります。シカゴのランドマークの一つです。劇場内部見学ツアーが曜日によって可能な日があるようです。
最近は映画上映はなくなりミュージカルやコンサートの劇場として親しまれています。演劇ファンは勿論建築設計に興味がある方にも一見の価値があるのではないでしょうか。
超高層ビル群
シカゴは摩天楼発祥の地でもあります。前述のように市内を殆ど焼けつくした1871年の大火から都市計画のもとに復興する過程で高層ビルが立ち並ぶ街となりました。主な高層ビルとしては;-
(1)ウィリス・タワー(旧シアーズ・タワー、442m)
シカゴで最も高く、アメリカで2番目に高い超高層ビルである。2013年にニューヨークの ワールドトレードセンターにその座を明け渡すまで、アメリカで最高層のビルでした。
その他に高さ300m以上の超高層ビルとしては下記のようなビルがあります。
(2)トランプ・インターナショナル・ホテル・アンド・タワー(415.1m)
(3)Aonセンター(346m)
(4)ジョン・ハンコック・センター(344m)
(5)AT&T・コーポレートセンター(307m)
(6)プルデンシャル・プラザ2(303m)
その他の観光スポット
- シェッド水族館;世界最大級の屋内型水族館。 25,000匹の魚類と海生哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類及び昆虫を含む1500種の生物を展示。場所はアドラー・プラネタリウム及びフィールド自然史博物館と近くあります。入場者が多い人気の水族館です。
- 科学産業博物館;シカゴ南部のハイド・パーク地区にあるジャクソン・パーク内にあります。ドイツの潜水艦U-505、ボーイング727、高速列車パイオニア・ゼファー、NASAのアポロ8号計画で使われた宇宙船などが展示されていてこちらも入場者が多く人気の博物館となっています。
- ブルースとジャズの街 ;ニューオーリンズなど南部からの移住者によってもたらされたジャズやブルースはここシカゴに定着して独自の発展をしました。街中には数多くのライブハウスがあり、お手頃な料金で入場出来ます。週末の夜は大いに盛り上がるそうです。例えば「Andy’s Jazz Club」「Jazz Showcase」,「Blue Chicago」、「House of Blues Chicago」、リバーノース/ダウンタウン地区にあります。
まとめ
- シカゴへ出かけたのは1月の寒い日でした。ビジネスの話を終えて超高層ビルのレストラン(名前は記憶していません)でミシガン湖と美しいシカゴの街を見ながら食事をしたことを思い出しました。
- 非常に短い滞在でしたので観光スポットはどこも見ることが出来ませんでした。後のなって整理してみるとシカゴは水と摩天楼が美しく緑地が旨く配置された街だと改めて感じているところです。今でも強く印象に残っています。
- 超高層建築に興味がある人やジャズやブルース、ミュージカル、スポーツなどに興味のある人は是非訪ねて欲しい街でもあります。ミシガン湖とミシシッピ川を結ぶ運河が完成して産業ばかりでなく人や文化の面で南部との交流が盛んになったことも大いに興味があるところです。
最後までご覧いただき有難うございます。