勝者のモニュメント、凱旋門(1)(2020/08/06)
目次
凱旋門とは
凱旋門と言えば、ナポレオン・ボナパルトがパリに作らせたエトワール凱旋門(1836年)が有名です。凱旋門とは戦争などで勝利した国家元首や将軍や軍隊などが軍事的勝利を讃えて式典を行うために建造られた門です。
その歴史は古く古代ローマ時代のハドリアヌスの凱旋門まで遡ります。
古代ローマ時代の凱旋門
凱旋門という切り口で贈呈された人物やその街の歴史などを見ていくと一味違った旅行が出来るのではないかと思います。年代は前後しているところがあります。
コンスタンティヌスの凱旋門
ローマにある古代ローマ時代の凱旋門で代表的なローマ建築といわれています。場所はコロッセオとパラティウムの丘、フォルム・ロマヌムの間にあります。距離は近いです。有名な観光スポットでランドマークとなっています。
西ローマ帝国の副帝であったコンスタンティヌスは、312年にミルウィウス橋の戦いで正帝マクセンティウスの軍団を撃破し勝利した。コンスタンティヌスの凱旋門はこの勝利を記念して建造された。
1960年のローマオリンピックでは、マラソン競技のゴール地点となっています。
高さ:21m、幅::25.7m、奥行き:約7.4m
3門形式、中央門:高さ約11m、幅約6.5m、左右門:高さ約7m、幅3m
ローマの凱旋門では最大
基礎と下部構造:石灰華、最上部は煉瓦(外装は大理石)
円柱:黄色大理石、それ以外:白大理石
アウグストゥス凱旋門
古代ローマ時代の凱旋門では現存する最古のもの。BC27年に元老院が初代皇帝アウグストゥスに贈ったもの。ローマのリミニに建造された。ローマから地方に向かうフラミニア街道の出発地点であるリミニに建造されました。
アウグストゥスとはローマ皇帝の称号の一つで、「威厳者」との意味を持つのだそうです。また8月の「August」はこの「アウグストゥス」が起源なのだそうです。面白いですね。
アドリア海に面した人口約15万人の街。
多くの遺跡がある。
初代皇帝アウグストゥスは余程多くの人から敬愛されたのか、その後イタリア各地に「アウグストゥス」名を戴く凱旋門が建造されました。
ドイツのマインツ市にローマ時代の門が復元されて保存されています。「Dotobiusの門」と呼ばれているいるそうですが、この門はアウグストゥス凱旋門によく似ていると思います。どなたを記念した門なのでしょうか。( 2021/09/17 追記 )。
ハドリアヌス凱旋門
ギリシャ、アテネの有名なアクロポリスの東側にある凱旋門。アテネを訪れたローマ皇帝ハドリアヌスが多数の公共建築物等の再建してアテネ復興に貢献した功績を讃えて建造された。資金は市民の多くが出し合ったといわれています。宜しかったら下のポストもご参照下さい。
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建築様式:凱旋門、
設置場所:アテネ、アクロポリスの東側
完成:AD131またはAD132
建築構造:石造建築/大理石
幅:13.5m、高さ:18m、円柱:直径2m×高さ17m×104本
アウグストゥスの貢献としては、
(1)BC42年、ピリッピの戦いでの勝利
(2)BC36年、ナウロクス沖の海戦での勝利
(3)元老院改革と領土の拡大など
ガレリウスの凱旋門
ギリシャのテッサロニキにある凱旋門。4世紀初めに古代ローマ皇帝ガレリウスが造営した宮殿や霊廟、凱旋門の3施設の一つ。これらの3施設は現在のデミトリオス・ゴウナリ通にありその中心にこの凱旋門がある。現存する門は写真のように左側の一部が欠損しています。
ガレリウス皇帝がAD298年にササーン朝ペルシャの首都クテシフォンを陥落させて勝利した戦勝を記念して建造された。宜しかったら下のポストもご参照ください。
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場所:テッサロニキ中心街
着工:AD298、完成:AD299、落成:AD303
構造:石造建築、レンガと大理石造り
支柱:8本、3つのアーチ型通路を持つ凱旋門
凱旋門の中央のアーチは幅9.7m、高さ12.5mで、その両横の2つのアーチは幅4.8m、高さ6.5mである。中央のアーチを突き抜ける大通りは古代ローマに通じる主要街道であったといいます。
ニコポリスの門
BC31年のアクティウムの海戦でオクタウィアヌス軍がアントニウス軍を撃破して勝利した。
ニコポリスとは勝利の街と言う意味でオクタウィアヌスは立派な都市を造った。
オクタウィアヌスは後にローマ帝国の初代皇帝になる。在位、BC27年~AC14年。
当時としては、ローマ水道も建設されインフラなども整い、高度な生活をしていたのではないでしょうか。
まとめ
まずギリシャとイタリアにある凱旋門をみてみた。やはりいずれの例も戦いの勝利に対するモニュメントとして建造されたようです。2000年以上の時間を経過して完全な姿で残されていないのは残念ですが止むを得ない。
在りし日の姿を偲んで歴史に触れるのも良いと思います。何度でも出かけたいところです。(この項は続く)。
最後までご覧いただき有難うございます。